和室は減少の一途、畳は“部屋”から“機能”へ
~間取り実態調査~
株式会社住環境研究所/2026年06月05日
近年、住宅における「和室離れ」が進んでおり、実際に和室を設けないプランが増えています。その背景には、建築費や土地価格の上昇等による住宅のコンパクト化、共働き世帯の増加等による暮らし方の変化があると考えられます。一方、2026年3月に閣議決定された国土交通省「住生活基本計画」では、「和の住まい」の価値の再認識や、伝統技能の継承、担い手育成等の方向性が示されています。和室が減少する中で、和の住空間を今後どのように継承していくのかが問われています。
そのような中、実際の住宅プランにおいて、和室や畳空間がどのように変化しているのかを把握することは、今後の住まいづくりを考える上でも重要です。前回コラムでは 2018年~2022年の変化を分析しましたが、本稿では、その後の変化として、2024年までの推移を地域別に分析しました。
分析対象:2018~2024年度に着工した、全国のセキスハイムの戸建て住宅、2階建て・単世帯住宅 n48,300
■和室離れが進む一方で、畳コーナーは維持・増加の傾向
全国のデータ(グラフ①)を見ると、和室の採用率は2018年の59.4%から、2024年には23.5%まで低下しています。また、「和室」「畳コーナー」「その他畳スペース」のいずれも持たない“畳なし住宅”は、2018年の28.0%から2024年には58.9%まで増加しています。この結果から、従来型の和室は、住宅プランの中で大きく減少していることが分かります。
一方で注目したいのが、畳コーナーの存在です。畳コーナーは、和室ほど大きく減少しておらず、直近では維持・増加の傾向も見られます。つまり、和室が単純になくなっているのではなく、畳空間が“仕切られた部屋”から、“LDKに付随する機能的かつオープン空間”へと形を変えている可能性があります。
グラフ①和室・畳コーナーの採用率推移(MA)
■地域別では、畳空間の残り方に差
地域別(グラフ②)に見ると、全国的に和室は減少傾向にあるものの、その変化の仕方には違いも見られます。例えば、北海道や首都圏では“畳なし住宅”の割合が比較的高く、和室だけでなく、畳空間そのものを持たない住宅も増えています。
一方、北信越や九州などでは、和室や畳コーナーが一定程度残っている地域も見られます。ただし、その背景には住宅規模や地域の住文化、暮らし方など、さまざまな要因が関係している可能性があり、今回のデータだけで理由を特定することはできません。分析から言えるのは、和室減少は全国共通の傾向でありながら、畳空間の残り方には地域差が見られるという点です。
グラフ② 地域別 和室・畳コーナーの採用率推移(MA)
研究員のコメント
今回の分析から見えてきたのは、和室は減少している一方で、畳空間そのものが完全に失われているわけではない、ということです。特に、畳コーナーが維持・増加傾向を示している点は興味深い結果でした。
背景には、LDK中心の暮らし方への変化や、住宅のコンパクト化があると考えられます。現在の住宅では、限られた面積の中で、ひとつの空間に複数の役割を持たせることが求められるようになっています。その中で畳空間は、「子どもの遊び場」「ごろ寝スペース」「家事スペース」など多用途に使える空間として位置づけられ、「小上がり」「縁なし畳」「和モダン空間」など、現代の LDKに馴染む形へと変化しながら、住まいの中に取り入れられています。
こうした変化を見ると、畳は「一室としての和室」から、「暮らしの中で柔軟に使える機能」へと役割を変えながら存続しているのかもしれません。和室の減少は、“和の住まい”の消滅ではなく、その形の変化とも捉えられそうです。
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