「睡眠状況に関する実態調査」について

―日常生活の乱れが睡眠へ悪影響を及ぼす―

2019年03月11日

積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:神𠮷利幸)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:小池裕人、千代田区神田須田町1-1)はこのほど、「睡眠状況に関する実態調査」を実施しましたので結果をお知らせします。
当研究所内には、内部研究機関「生涯健康脳住宅研究所」があり、脳の活性化や機能維持のための重要な 4 つの項目、「会話」「食事(調理)」「運動」「睡眠」から健康な生活をより長期化させる住まいや暮らし方の関係性について調査、研究を進めています。今回は、睡眠に関して調査を実施しました。

調査結果のポイント

1.睡眠に対して不満をもつ中年層の9割以上が睡眠不足

睡眠に満足している層(以下「満足層」)は66%、不満を感じている層(以下「不満層」)は34%となり、特に中年層(30-50代)で睡眠不満が4割と高くなっていました。
中年の不満層では95%が「日中の眠気」、93%が「睡眠時間が足りない」、86%が「起きた時すっきりしない」と感じており、睡眠に関する不満を抱えていることがわかりました。

2.眠りの問題は日常生活の乱れが要因

「睡眠時間が足りない」、「起きた時のすっきり感がない」人では「平日の寝る時間の変動」、「休日の寝る時間・起きる時間の変動」、「平日の夜更かし」に当てはまる人が多く、日常の規則性が乱れている傾向がうかがえました。
また、日常生活の規則性が乱れると眠りに影響を与えるだけでなく、身体の不具合にも影響を与えることもわかりました。

3.音・温熱の環境も不満の一因

寝室の音環境では、不満層全体で音をうるさく感じる人が多く、「外部の音がうるさい」では中年の不満層が53%なっていました。温熱環境(家全体、寝室)についても、不満層全体で不満が多く、「寝室の温度」は中年の不満層で31%となっています。また、不満層の中でも築20年以上の住宅に住んでいる人は、温熱の不満割合が30%と高い傾向にあります。

 


調査概要

調査対象
セキスイハイムご入居者14,000人、年齢30~70歳代
調査エリア
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県
調査方法
Webアンケート方式
調査時期
2019年1月
有効回答数
829件
協業先
江戸川大学睡眠研究所(調査手法指導、一部解析・分析)

※グラフの構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため合計しても必ずしも100になりません。
※グラフ中の数字は、明記がない場合は%を表します。

 


生涯健康脳住宅研究所について

積水化学工業(株)住宅カンパニーでは、1994年に「加齢配慮住宅研究所」を設立し、高齢化社会における住宅問題の研究や、それに基づく解決策を盛り込んだ商品企画を手掛けてきました。高齢化の進展により住まいの課題の重点が「対応から予防へ」と変化していることから、新たな概念による新たな体制での研究が必要との考えに至り、住環境研究所内に生涯健康脳住宅研究所を新設しました。当研究所では東北大学加齢医学研究所、江戸川大学睡眠研究所などの研究機関とも連携。脳の育成、活性と住まいや暮らし方の関係性について調査、研究を進めるとともに、住環境研究所ホームページ上の専用コンテンツによる情報発信も行っています(URL:https://www.jkk-info.jp/brain/)。「話食動眠」とは、「生涯健康脳」を維持するために掲げているコンセプトキーワードであり、会話、食事(調理)、運動、睡眠のことです。会話が増えると、食事が美味しくなり、活動的になり、良く眠れるようになり、一巡して更に会話が増えるといった生活の好循環を作り出すと考えています。

 


調査結果

1.中年層で睡眠に対して不満割合が高い

睡眠の満足について調査したところ、満足層が全体で66%、不満層が34%と3割以上の人が睡眠に対して不満を感じていることがわかりました。年齢別では、中年層で睡眠不満が高く、30代、40代、50代それぞれで4割を超える数値となっていました。

具体的にはどういった点で睡眠に不満を感じているか調査したところ、全体では80%が「日中に眠気がある」、77%が「夜中に目が覚めてトイレに行く」、67%が「睡眠時間が足りていない」、66%が「夜中に何度も目が覚める」、60%が「起床時刻より早く目が覚める」と回答しました。不満層では91%が「睡眠時間が足りない」、88%が「日中に眠気がある」、83%が「起きた時すっきりしない目が覚めない」と睡眠不足に関する悩みを抱えている人が多いことが明らかになりました。

■睡眠不満の内容(満足度別)

年齢別の睡眠満足度では、中年の不満層で95%が「日中に眠気がある」、86%が「起きた時、すっきり目が覚めない」と回答しました。一方、高齢の不満層では93%が「夜間に目が覚めてトイレに行きたくなる・トイレに行く」、90%が「夜中に何度も目が覚める」、86%が「希望する起床時刻より早く目が覚めてしまいそれ以上眠れない」と回答しており、年齢層によって睡眠に対する不満内容が異なることが伺えます。

■睡眠不満の内容(睡眠不満層・年齢別)

2.眠りの問題は日常生活の乱れが要因

睡眠不満の内容別に生活状況を見ると、「睡眠時間が足りない」人は「朝、起きてから寝るまでの間に、二度寝、昼寝、夕寝などをしている」、「平日の睡眠時間は、6時間未満である」、「休日の起きる時刻は、平日の起きる時刻より2時間以上変動することがある」「休日の寝る時刻は、平日の寝る時刻より2時間以上変動することがある」において平均のポイントが高いことが分かります。「すっきり目が覚めない人」でも、「休日の起きる時刻・寝る時刻は、平日の起きる時刻・寝る時刻より2時間以上変動することがある」においてポイントが高く、日常生活の不規則性が睡眠不満の原因として考えられます。

■睡眠不具合の生活状況(睡眠不満の内容別)
※生活状況の項目に、全く当てはまらない.1点、あまり当てはまらない.2点、少し当てはまる.3点、とても当てはまる.4点 と加点し平均値を算出

年齢別の睡眠満足度では、中年の不満層で「平日の睡眠時間が6時間未満」、「平日の起床」、「休日の起床時刻の変動」、「休日の就床時刻の変動」、「平日夜更かし」において、高齢層よりもポイントが高くなっています。中年層で生活の規則性が乱れていることが伺えます。

■生活状況(睡眠不満層・年齢別)

睡眠不満の原因と考えられる「平日寝る時刻が2時間以上変動する」、「平日起床時刻が2時間以上変動する」人は、どちらの場合でもこれらの事が「まったく当てはならない」人に比べ「とても当てはまる」人の方が「疲労感」、「イライラ感」、「風邪の引きやすさ」をより強く感じている事が分かります。また、平日だけではなく休日の就床・起床時刻の変動においても同様の傾向が見られました。これらから生活の規則性が乱れると身体の不調につながることが確認されました。

疲労感、イライラ感、風邪の引きやすさの項目、それぞれに、全く当てはまらない.1点、あまり当てはまらない.2点、少し当てはまる.3点、とても当てはまる.4点 と加点して平均値を算出
 
疲労感、イライラ感、風邪の引きやすさの項目、それぞれに、全く当てはまらない.1点、あまり当てはまらない.2点、少し当てはまる.3点、とても当てはまる.4点 と加点して平均値を算出

3.音・温熱の環境も不満の一因

寝室の音環境では、中年、高齢の不満層共に音をうるさく感じる人が満足層よりも多くなっていました。さらに、家全体と寝室の温熱環境についても、不満層では満足層よりも温熱への不満の割合が高くなっています。これらのことから、睡眠の満足度には寝室の音環境や温熱環境が関連していることが推測されます。

■寝ている時に、外部の音がうるさく感じる(睡眠不満×年齢)
■寝ている時に、隣の部屋の音がうるさく感じる(睡眠不満×年齢)
■家全体の暑さ寒さ満足度(睡眠不満×年齢)
■寝室の暑さ寒さ満足度(睡眠不満×年齢)

住宅の省エネ基準別に睡眠満足度を調査してみると、築20年以上の住宅に住む不満層
では築19年以下の住宅に住む人に比べると、寝室温度の不満の割合が高いことが明らかになりました。築20年以上の不満層の方が、温熱満足度が低いことが分かりました。

■寝室の暑さ寒さ満足度(省エネ基準×年齢)

※平成11年省エネ基準(次世代省エネ基準)を元に、築20年以上、築19年以下の区分をしています。